RoHS分析
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各国版RoHS指令について
人々の健康と環境を保護しようとする政策は、1992年の地球サミット(環境と開発に関する国際連合会議) アジェンダ21が採択された後、電気電子機器に関して、2006年7月施行のEU RoHS指令に端を発し、 特定有害物質の含有を規制する動きが各国に広まっています。内容はその国の状況により各国で若干の違いがあります。 以下に現状での各国の特徴を整理しました。
◆J-Moss
日本では「資源有効利用促進法」の政令が2006年7月1日から施行されました。
資源有効利用促進法では、対象業種、対象製品を政令で指定し、業種・製品ごとに判断基準となるべき事項を省令で定めることになっています。
J-Mossとは、電機電子機器に含有される化学物質の表示に関するJIS規格の略称です。
このJIS規格の正式名称は「電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法JIS C 0950」 で、JIS規格の「J」と、
The Marking for presence of the specific chemical substances for electrical and electronic equipmentの頭文字から「J-Moss」と名づけられました。
J-Mossの目的は、「電気・電子機器に含まれる特定の化学物質の含有表示方法を標準化することによって、サプライチェーン及びライフサイクル各段階の事業者における特定の化学物質の管理の改善を促進するとともに、一般消費者の理解を容易にし、資源の有効な利用の質の向上、及び、環境負荷の低減を図り、適切に管理された電気・電子機器をより普及させること」です。対象製品は、パーソナルコンピュータ、ユニット型エアコンディショナー、テレビなどの7製品群で、EUのRoHS指令と比較して適用範囲は狭くなっています。一方、管理対象の特定の化学物質は、RoHS指令と同じ6物質群で、適用除外用途も順次、RoHS指令に整合させることになっています。
なお、EUのRoHS指令は特定の化学物質(6物質群)の最大許容濃度以上の含有を基本的に禁止していますが、J-Mossでは6物質を最大許容濃度以上含有する場合に表示義務を課していることが特徴になっています。
規制物質が含有されている場合には図のように表示マークを機器本体、包装箱、カタログ類に表示する義務と情報開示をすることになりました。
http://210.254.215.73/jeita_eps/jmoss200512.html J-MOSSについてのご案内 JEITA HPより
J-Mossグリーンマークは、特定化学物質の含有率が基準値以下であることを示すマークです。
J-Moss含有マークは、特定化学物質の含有率が基準値を超えることを示すマークです。含有マークの下または横に記載されている化学物質記号は、基準値を超えている特定化学物質の元素記号を示しています。
グリーンマークは上記6物質の含有率が基準値以下であることを表すマークです(ただし除外項目を除く)。ただし、グリーンマークの表示は任意です。
J-Mossでは、現在の技術では特定の化学物質の代替が困難であり、含有されていることが明白である用途については、含有表示の除外項目としています。
グリーンマーク
含有マークは、上記6物質の含有率が基準値を超えていること(「含有」)を表すマークです。「含有」の場合、含有マークの表示は必須です。
含有マーク
◆US RoHS
2010年7月1施行
特定有害物質、最大許容濃度、除外事項はEU RoHS指令と同じ。
適用範囲:300V以上の機器、据付型機器、医療機器は除く。
◆トルコ RoHS
2009年6月1施行
特定有害物質、最大許容濃度、除外事項はEU RoHS指令と同じ(ただしDeca BDEは除外)。
適用範囲:300V以上の機器、据付型機器、医療機器は除く。
◆タイ RoHS
2009年2月2日付け「タイ王国政府公報」により公表され通達として発効。
特定有害物質、最大許容濃度、除外事項はEU RoHS指令と同じ。
工業規格を引用。この規格が未施行の場合は、IEC62321などIEC規格に従う。
特定有害物質は適用除外も2008年時点のEU RoHSで承認されていたものとほぼ同じ。
◆中国 RoHS
第1ステップ:2007年3月1日に施行。規制の対象となる特定有害物質については、EUのRoHS指令と同じ6物質群だけではなく、
さらに「国家が指定するその他の有毒有害物質」を追加。2008年7月末日の段階では、国家指定の有毒有害物質のリストは公開されていません。
EUのRoHS指令の適用範囲は最終製品ですが、中国版では適用範囲に電子部品や材料が含まれているのが大きな特徴です。
2007年3月1日施行の第1ステップにおいては、特定有害物質を規制するのではなく、製品に含有する特定有害物質の含有表示が要求されています。
第2ステップの施行において、適用対象製品に対する特定有毒有害物質の含有制限が要求されていますが、具体的な施行期日はまだ公表されていません。
さらに、第2ステップでは重点管理目録制度が導入されます。重点管理目録に登録された電子情報製品は、
CCC(China Compulsor Certification)制度が適用され、CCCマーク無しでは中国国内では販売できないことになっています。
◆ノルウェー PoHS 10物質
対象製品は「民生用製品で、消費者のために意図されたものか、または消費者によって使用されると合理的に予想することができるあらゆる製品」。
適用外として、食品、食品包装材、肥料、医用機器、タバコ、輸送設備、タイヤなど。
2007年12月15日公布、当初2008年1月1日施行予定が、草案のまま推移しています。特定18物質の含有規制が次の10物質に縮小して検討をしているようです。
( )内数値は2007年発表のときの数字です。
ヒ素およびその化合物(0.01%)
鉛およびその化合物(0.01%)
カドミウムおよびその化合物(0.01%)
トリブチルスズ化合物(TBT)(0.01%(成形品中))
トリフェニルスズ化合物(TPT)(0.01%(成形品中))
DTDMAC
DODMAC/DSDMAC
DHTDMAC(合計0.1%)
ジエチルエキシルフタレート(DEHP)(0.1%)
ペンタクロロフェノール(0.1%)
MCCP、PFOA、TBBPA、ビスフェノールA、マスクキシレン、マスクケトン、トリクロサンおよびHBCDDが削除。
◆韓国 RoHS
2008年1月施行
特定有害物質、最大許容濃度、除外事項はEU RoHS指令と同じ。
*なお上記の内容は随時改訂が行なわれ、正確性を保証するものではありませんので、法規制の解釈は必ず原文及び、最新版を参照してください。
参考資料 J-NET21、ワールドエコスコープ、JPCA NEWS