ノルマルヘキサン抽出物質について
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ノルマルヘキサン抽出物質とは?
ノルマルヘキサン抽出物質というのは、特定の物質名称ではありません。
ではいったい何を分析しているのでしょうか?
ノルマルヘキサン抽出物質は、一般的に水中の油分等を表わす指標として用いられています。
この分析では、pH4以下の条件において、
- 試料にヘキサンを加え、混和させた後、試料中からヘキサンによって抽出される
- 80℃付近でヘキサンを揮発させた時に揮発しない
上記1、2の条件に当てはまるものを定量しています。
具体的には、鉱油類、動植物油脂類などの油分の他にも、界面活性剤や石鹸、アルコール、アミン類、農薬や染料、フェノール類などが上記に当てはまります。 このようにヘキサンに抽出される不揮発性物質の総量をノルマルヘキサン抽出物質として分析しています。
規制の経緯と背景
なぜノルマルヘキサン抽出物質の分析が行われるようになったのでしょうか?
ノルマルヘキサン抽出物質は、1965年に「油脂類(n-ヘキサン可溶性物質)」として分析方法ができ、魚介類の死滅や油膜・油臭などの原因となる、油汚染の指標となりました。
日本における公共用水域の水質保全に関する法律は、漁業資源保護の観点から始まりました。
高度経済成長期に入ると、急激な経済発展とともに拡大した公害問題、さらには「黒い水事件※」が直接的な契機となり、水質保全法・工場排水規制法(水質汚濁防止法の前身)
が制定され、その後、水質汚濁防止法や大気汚染防止法などの「生活環境の保全」に関する法律が制定されていき、
ノルマルヘキサン抽出物質は生活環境項目の一つとして規制されるようになりました。
※別名浦安事件ともいい、昭和33年に本州製紙江戸川工場が、紙の材料となる木からヤニを除去する為の機械を導入し、 この機械から出る悪水により江戸川の水が黒く濁り、海水も変色して魚介類が死滅しました。その後、悪水放流をやめない企業に対し、 漁民が工場に乱入し、警官隊と衝突、けが人が出た事件になります。